マッチングアプリの詐欺・ロマンス詐欺の手口15選と見破り方

※本記事は被害防止のための一般的な情報整理であり、個別の被害の救済や法律相談の代わりにはならない。数字は警察庁・国民生活センター・消費者庁の公表資料にもとづく。特定のアプリの評価はしていない。最終確認日:2026年10月。被害に遭ったかもしれないときは、記事の最後の相談先を先に見てくれ。

正直に答えろ。マッチして数日、毎日やり取りしている相手がいて、「この人は本物だ」と思い始めてねえか。

責めてるんじゃねえ。警察庁の令和7年(2025年)のまとめでは、SNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,645件、被害額は546.4億円だった。前の年より件数は47.6%、被害額は36.3%増えている。被害者は男性が約6割。40代から60代が多数を占める。つまり、遊び慣れてねえ奴だけがやられてるわけじゃない。大人が、普通に、やられている。

しかも、最初の接触ツールでいちばん多かったのが、マッチングアプリ(1,846件、32.7%)だった。そして、被害に遭ったときの連絡ツールの93.8%はLINEだ。入口はアプリ、本番はLINE。この流れを知っているだけで、止められる場面は増える。

知らないと失うのは、金だけじゃねえ。免許証の画像を渡して脅される、借金を背負う、そして「信じた自分」への自己嫌悪が残る。逆に、手口の流れを先に頭に入れておけば、「あれ、このパターンだ」と立ち止まれる。

この記事で分かることは次の6つだ。

  1. 警察庁の数字で見る、ロマンス詐欺の被害の実態(誰が、どこで、いくら)
  2. マッチングアプリを入口にした詐欺の「15の手口」と、危険サイン・対応を並べた早見表
  3. 恋愛型の詐欺が進む8つの段階と、止めどころ
  4. 「32.7%」の数字を読み間違えないための注意
  5. お金の話が出たときの5つのルール
  6. もう送ってしまったときの動き方と、相談先

この記事の要点

  • 令和7年のSNS型ロマンス詐欺は5,645件・546.4億円(警察庁)。当初接触ツールはマッチングアプリが最多
  • 連絡先を移す先はほぼLINE(93.8%)。「早い段階でLINEへ」は国民生活センターもチェックリストに入れている
  • 金銭を要求する名目は、令和6年のデータで投資が7割超(件数73.1%)
  • 出金のための手数料・保証金・税金、暗号資産の送金、身分証の画像要求は、典型的な危険サイン
  • お金の話が出たらそこで止める。送金してしまったら、188と警察に早く相談する

マッチングアプリは最大の入口。ただ、本番は「アプリの外に出たあと」だ

警察庁が公表した令和7年(2025年)の確定値から、SNS型ロマンス詐欺の数字を表にまとめた。

項目令和7年の数字(警察庁)
認知件数/被害額5,645件(前年比+47.6%)/546.4億円(前年比+36.3%)
被害者の性別男性3,633件・328.7億円、女性2,012件・217.7億円。男性が約6割
被害者の年代男女とも幅広いが、40代から60代が多数
当初接触ツールマッチングアプリ1,846件(32.7%)、Instagram 1,288件(22.8%)、Facebook 1,049件(18.6%)。この3つで約7割
被害時の連絡ツールLINE 5,294件(93.8%)
被害金の交付形態振込型3,055件(54.1%)、暗号資産送信型2,177件(38.6%・247.7億円)。暗号資産が実質的な交付形態のものは、件数の40.4%、被害額の48.6%
詐称された身分日本(国内)が3,461件で約6割。職業は投資家627件、会社員507件、会社役員378件など

見てほしいのは最後の行だ。相手は海外の怪しい人物ばかりじゃなく、「日本国内の会社員」「投資家」を名乗る。肩書きで安心する材料にはならねえ。

「32.7%」は被害者の内訳であって、アプリ利用者の被害率じゃない

ここで数字の読み方を間違える奴が多い。「被害の32.7%がマッチングアプリ」は、被害に遭った人の中でのきっかけの割合だ。マッチングアプリを使う人の32.7%が被害に遭う、という意味じゃない。

この数字から言えることは、2つだ。ひとつは、詐欺をする側にとって、恋愛目的の出会いの場は入口として使いやすいということ。もうひとつは、利用者の側が「ここでは疑うのが失礼」と思いがちな場所を、狙われているということだ。アプリそのものを悪者にする話じゃなく、出会いの場で金の話が出たら止める、という習慣の話だ。

それに、国や事業者も動いている。警察庁は令和6年9月、デジタル庁と連名で、マッチングアプリ事業者の団体などに、本人確認の選択肢にマイナンバーカードの公的個人認証を加えることを周知するよう要請した。また、令和7年中に、警察がLINEヤフーに情報提供したSNS型投資・ロマンス詐欺と特殊詐欺のアカウントは、合計で18,214件(うちSNS型投資・ロマンス詐欺9,505件)にのぼる。

手口は15個に整理できる。保存用の早見表

公的機関が公表している事例から、手口を15に整理した。手口が書かれている出典を、〈 〉の中に示した。「危険サイン」と「対応」の欄は、公表された注意点にもとづき、編集部で整理したものだ。1つ当てはまっただけで詐欺と決めつける表じゃない。止まって考えるための材料にしてくれ。

#手口〈出典〉危険サイン止めるための対応
1早い段階でLINEなどに移そうと言われる〈警察庁R7:連絡ツールの93.8%がLINE/国民生活センター2022〉マッチングして数日〜数週間で「LINEで話そう」すぐには移らない。移るなら、お金の話は出ない前提で様子を見る
2立派な身分・職業を名乗る〈警察庁R7:投資家、会社員、会社役員など〉経営者・投資家・医療関係・芸能関係を名乗る。国内在住を装う肩書きは確認できない前提で、お金の話が出た時点で止める
3海外在住・外国人を名乗る〈国民生活センター2022〉自称外国人、海外在住経験あり、日本語が不自然同上。話の中身より、お金の話題の有無で判断する
4会えない理由が次々に出る〈国民生活センター2022:感染を理由に会えず、追加送金を求められた事例〉仕事・体調・渡航などを理由に面会を延期し続ける会う前に金の話が出たら、その時点でやり取りを終える
5投資(暗号資産・FX)の話を持ちかける〈国民生活センター2021・2022/警察庁R6:名目は投資が73.1%〉趣味が投資、利益を自慢する、「一緒にやろう」きっぱり断る。指示された投資は、しない
6結婚や将来を理由に資金づくりを誘う〈国民生活センター2022チェックリスト〉「結婚資金を貯めるために」「金銭感覚が近い人がよい」結婚と資産運用が同時に出たら、警戒レベルを上げる
7最初は少額で利益が出て、出金もできる〈国民生活センター2022:投資サイト上で利益が出るように見える〉画面上の利益、少額の出金成功を見せる画面の利益を根拠にしない。追加の入金をしない
8出金のために手数料・保証金・税金を求める〈国民生活センター2022:総資産の15%の保証金、所得税の支払い要求の事例〉「出金には保証金が必要」「税金を先に払って」払わない。払っても出金できず、請求が続くおそれがある
9暗号資産の送信や預かりを頼まれる〈国民生活センター2021/警察庁R7:暗号資産送信型2,177件〉「アカウントを預かって」「送金を手伝って」暗号資産の送金は取り戻しにくい。送らない
10免許証などの画像を求め、後で脅す〈国民生活センター2021:免許証の写しを送った後、返金しなければ訴えると言われた事例〉口座開設や本人確認を口実に、身分証の画像を求める送らない。送ってしまったら188か警察に相談
11ポイント課金でやり取りを続けさせる〈国民生活センター/札幌市〉メッセージを続けるのにポイントが必要。何度払っても会えない課金を止め、やり取りと支払いの記録を残す
12「お金をあげる」「悩みを聞けば報酬」と誘う〈国民生活センター〉支援金やポイントをあげるというメール。受け取りに手続き費用が必要先に払う条件の話は、全部止める
13電子マネー・プリペイドで支払わせる〈国民生活センター〉コンビニでプリペイドカードを買わせ、番号を伝えさせる支払い手段が限定された時点で打ち切る
14「営業の仕事」を紹介し、コンサル契約と借入れをさせる〈消費者庁2026年6月注意喚起〉「営業の仕事を紹介できる」→面談→契約→消費者金融での借入れ契約も借入れも即決しない。契約内容は消費生活センターに見せる
15呼び出して高額な契約を迫る〈特定商取引法2条1項2号・同施行令1条〉勧誘目的を告げずに、又は著しく有利な条件を告げて、店舗などへの来訪を要請契約書面を受け取った日から8日以内なら撤回できる場合がある(同法9条)。188へ

恋愛型の詐欺は、8つの段階で進む。止めどころは3つある

国民生活センター越境消費者センターは、マッチングアプリなどをきっかけとする投資詐欺の流れを、次のように整理している。

段階相手の動き止めどころ
1マッチングが成立するここでは何も起きていない
2会う前に、別のサービスでのやり取りを持ちかける★止めどころ① 乗り換えを急かされたら、ひと呼吸置く
3投資サイトを案内され、投資を勧められる★止めどころ② お金の話が出た。ここで終わらせる
4投資用の資金を送金するよう指示される
5最初は少額で、サイト上では利益が出る
6さらに高額の投資を勧められ、送金する★止めどころ③ ここまで来ても、送金前なら止められる
7出金しようとすると、さまざまな名目で送金を求められる
8相手や運営業者と連絡がとれなくなり、返金されない

想像してくれ。マッチして3日目、相手が「アプリは通知が見づらいからLINEにしない?」と言ってきた。3週間後、「実は副業で、海外のプラットフォームで運用してる。君にも教えたい」と言われる。最初は1万円。翌日、本当に3,000円ほど増えて、出金もできた。ここで気持ちが緩む。次は30万円。そして、出金しようとしたら「保証金が必要」と言われる。こういう流れだ。段階の最初のほうで止めるほど、被害は小さい。

ただ、本当に厄介なのは、ここまで進んだ人が「自分はもう引き返せない」と思ってしまうことだ。出金できないのは相手のせいで、払った額を取り戻すためにさらに払うのは、被害を大きくする動きになる。

お金の話が出たら止める。5つのルールだけ決めておけ

手口は進化する。だから、手口を全部覚えるより、ルールを先に決めておくほうが強い。

  1. お金の話が出たら、そこで止める。投資、手数料、保証金、税金、立て替え。名目は問わない
  2. 会うより先に、金銭の話が出る相手は信用しない
  3. 身分証や口座の画像は、相手に送らない
  4. 暗号資産や電子マネーでの支払いを求められたら、その時点で打ち切る
  5. 迷ったら、送金する前に、家族・友人・188・警察のどれかに話す

国民生活センターのアドバイスも同じ方向だ。マッチングアプリ等で知り合った相手の指示で投資することはやめる。サービスのルールに従って利用する。不安を感じたら、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談する。

プロフィール写真の使い回しを、画像検索で調べる人もいる。これは公的機関が推奨している方法じゃなく、編集部の目安だ。一致が出たら怪しいが、出なくても安全の証明にはならない。

もう送ってしまったときは、「早く・全部・消さずに」相談する

お金を送ってしまった、身分証を送ってしまった。そうなったら、恥ずかしがる前に動け。詐欺は刑法上の犯罪で、人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の拘禁刑に処せられる(刑法246条)。被害者は、犯罪の被害者だ。

  1. 相手へのこれ以上の送金・入金をやめる(取り戻すための追加支払いも含む)
  2. やり取りの画面、送金の記録、相手のIDやURLを消さずに保存する
  3. 消費者ホットライン「188」に電話する。国民生活センターは、海外事業者とのトラブルは越境消費者センター(CCJ)でも受け付けるとしている
  4. 警察に相談する。緊急なら110番、緊急でなければ警察相談専用電話「#9110」
  5. 送金に使った銀行やサービスにも、早めに連絡する
  6. 「お金を取り戻せる」と持ちかけてくる第三者の連絡には、慎重になる(編集部の注意。まず188か警察に確認する)

国民生活センターは、暗号資産やFXなどの投資を勧められて送金した後に連絡が取れなくなるケースについて、お金を取り戻すのは極めて困難としている。だからこそ、早く相談して被害を広げないことが大事になる。

よくある質問

Q. マッチングアプリで知り合った相手が、全員詐欺ってことはあるのか?

A. ない。警察庁の数字は、被害に遭った人の中での割合で、アプリの利用者全体の被害率ではない。ただ、お金の話が出たときの対応は、相手が誰でも同じだ。止める。

Q. ビデオ通話ができた相手なら、本物と考えていいのか?

A. 通話ができたことは、安全の証明にならない。本人確認のかわりにはならないと考えておけ。判断の軸は「お金の話が出たかどうか」だ。

Q. 暗号資産を送ってしまった。取り戻せるのか?

A. 国民生活センターは、お金を取り戻すのは極めて困難としている。それでも、早ければ早いほど、取れる手が残る可能性はある。188と警察、利用した交換業者や銀行に、すぐ相談してくれ。

Q. 恋愛感情が入ると、冷静に判断できない。どうすればいい?

A. それが普通だ。だから、ルールを先に決めて、お金の話が出たら第三者に話す、と決めておく。国民生活センターのチェックリストにも、投資を勧められたら、相手に関係なくきっぱり断ることが書かれている。

Q. 相談はどこにすればいい?

A. お金・契約の相談は消費者ホットライン188。犯罪かどうかの相談や被害届は警察(#9110、緊急は110番)。海外事業者とのトラブルは、国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)でも受け付けている。

まとめ|最初の問い、「この人は本物か」に答える

最初の問いに戻る。毎日やり取りしている相手は本物か。正直なところ、やり取りの中身から本物かどうかを見抜くのは、プロでも難しい。だから、見る場所を変える。人柄じゃなく、お金の話が出たかどうかだ。

  • 令和7年のSNS型ロマンス詐欺は5,645件・546.4億円。入口はマッチングアプリが最多、連絡はLINEが93.8%
  • 手口は15に整理できる。投資、出金手数料、暗号資産、身分証の画像、課金、契約・借入れが典型
  • 止めどころは、乗り換えを急かされたとき、お金の話が出たとき、送金の直前の3つ
  • 32.7%は被害者の内訳で、アプリ利用者の被害率ではない
  • 送ってしまったら、追加送金せず、記録を保存し、188と警察に早く相談する

今日やることは2つ。「お金の話が出たら止める」を、自分のルールとしてメモすること。そして、188と#9110を、スマホの連絡先に入れておくことだ。

参考にした公的資料

最終確認日:2026年10月

関連:出会いのガイド一覧、悩みから探す、カップル・夫婦の悩み一覧、編集方針。

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