※本記事は表示の読み方を整理した一般的な情報であり、特定の商品の効果や安全性を保証するものではない。肌に合わないときは使用をやめ、皮膚科などに相談してほしい。内容は産総研(計量標準)の資料、WHO・UNFPAの潤滑剤仕様、国内メーカーの公式表示にもとづく。最終確認日:2026年10月。
売り場でローションを手に取って、パッケージに「ハード」と書いてあったとする。さて、ハードって何がどう硬いのか、説明できるか?
手を上げてみろ。「ハード」「ミディアム」「ライト」の違いを、ちゃんと説明できる男はほとんどいねえ。それが普通だ。ただ、調べて分かったことがある。この3つの呼び名に、業界共通の基準は見つからなかった。メーカーによって、呼び方も、指している中身も違う。
数字で見てみる。粘度の単位はmPa・s(ミリパスカル秒)で、水は約1。ところがサラダ油は60〜80、シャンプーは2,000〜3,000、マヨネーズは15,000〜20,000、ハンドクリームは100,000にもなる(いずれも目安)。ローションは、この物差しのどこかにいる。にもかかわらず、今回確認した国内メーカーの公式ページには、数値の記載を見つけられなかった。
数字がなくても選べる。ただし、表記の読み方と、数字があってもあてにならない理由を知っておかないと、「思ってたのと違う」を引く確率が上がる。そこを、この記事で整理した。
この記事で分かること
- 粘度とmPa・sの意味、身近なものとの比較
- 「ハード・ミディアム・ライト」に共通基準がない根拠
- メーカー表記の読み替え早見表
- 数字があっても比べられない理由(測り方で変わる)
- 粘度・糸引き・滑りの違いと、成分との関係
- 買う前の5項目チェックリスト
粘度は「ドロドロ度」の数値だ|水は約1、ケチャップは約3万
粘度とは、液体の流れにくさのことだ。単位のmPa・s(ミリパスカル秒)は、旧単位のcP(センチポアズ)と同じ値になる。産総研の計量標準の資料にも、「1 mPa・s = 1 cP」と記載があり、20℃の水の粘度がおよそ1 mPa・sだ。ローションの説明に「cP」や「cPs」と書いてあっても、数字はそのまま読み替えていい。
身近なものとの比較を、ある計測機器メーカーの粘度目安表(20〜25℃のおよその値)から引いておく。
| 身近なもの | 粘度の目安(mPa・s) | イメージ |
|---|---|---|
| 水 | 1 | サラサラ |
| サラダ油 | 60〜80 | とろりとはしない |
| シャンプー | 2,000〜3,000 | 手のひらで止まる |
| ドレッシング | 5,000〜10,000 | ゆっくり流れる |
| シロップ | 約10,000 | 糸を引いて落ちる |
| マヨネーズ | 15,000〜20,000 | 形が残る |
| トマトケチャップ | 約30,000 | 容器を傾けても出にくい |
| ハンドクリーム | 約100,000 | ほぼ流れない |
この表は、あくまで「目安」だ。同じ品名でも、メーカーや温度で数字は変わる。ローションの数字を見たときに、「シロップくらいか」「マヨネーズくらいか」と当たりをつけるための物差しとして使え。
「ハード・ミディアム・ライト」に共通の基準は見つからなかった
ここが一番大事なところだ。国内メーカーの公式サイトを実際に見ると、呼び方はバラバラだった。
| メーカーの表記例 | 言い方 | 数値表記 |
|---|---|---|
| ペペ公式サイト(中島化学産業) | 「高粘度」「中粘度」「中低粘度」 | 確認できなかった |
| オカモト公式(ボディ用マッサージローション) | 「強粘タイプ」「超糸引きタイプ」 | 確認できなかった(質的な説明のみ) |
| オカモト公式(ゼロワンローション) | 「ソフト」=洗い流しやすい設計、「ハード」=乾きにくい設計と説明 | 確認できなかった |
| 相模ゴム工業・日本家族計画協会の潤滑ゼリー | 「水溶性」「洗い流しやすい」など | 確認できなかった |
見ての通り、同じ「ハード」でも、粘度の高さではなく乾きにくさを指すメーカーがある。「高粘度」と「強粘」は似ているが、どこから高いのかは書いていない。つまり、「ハード=最強の粘度」という読み方は、成り立たない場合がある。
WHOとUNFPAの潤滑剤仕様でも、同じ事情が書かれている。水性の潤滑剤の最適な粘度の範囲を決めるための公表データが、まだ十分にない。そのため、仕様の数字(後述)は、メーカーがUNFPA(国連人口基金)に提出した実データにもとづいて設定されている。つまり、国際機関でさえ「このくらいが理想」とは言い切っていない。
数字があっても、そのままでは比べられない
では、メーカーが数値を載せていれば比べられるのか。実は、そうでもない。
WHOとUNFPAの仕様によると、水性の潤滑剤は、「剪断(せんだん)で粘度が下がる」性質を持つものが多い。ざっくり言うと、かき混ぜたり押し広げたりするほど、シャバシャバになる。そのため、測り方によって数値が大きく変わる。だから仕様では、測定条件を細かく決めている。温度は25℃(±2℃)、ブルックフィールド型の回転粘度計、スピンドルはLV-4、回転数は毎分60回転、だ。
こんな場面を想像してくれ。A社は「15,000 mPa・s」、B社は「12,000 mPa・s」と書いている。A社のほうが粘度が高い、と思うだろ? ところが、A社が毎分6回転で測り、B社が毎分60回転で測っていたら、この比較に意味はない。測定条件が書いていない数字は、他社との比較に使えない。
そのWHOの仕様は、水性の潤滑剤の初期粘度を、メーカーが5,000〜20,000 cPs(= mPa・s)の範囲で設定し、±15%の許容を持たせることを求めている。さらに、粘度が保存期間中に初期値から30%を超えて下がらないことも要件だ。ただし、これは「コンドームと併用する潤滑剤を国際機関が調達するときの基準」であり、「この範囲が最高」という意味ではない。
実践的な結論はこうだ。数字があっても、同じ条件で測った数字同士でなければ比べない。数字がなければ、メーカーの言葉(強粘、中粘度など)を、同じメーカーの商品同士の相対比較に使う。他社との比較には使わない。
粘度・糸引き・滑りは別物だ|成分が違えば、同じ粘度でも別の使い心地になる
売り場で迷う原因のひとつは、「粘度が高い=糸を引く=滑る」と思い込むことだ。実は、この3つは別々に決まる。
国内メーカーの公式サイトの説明を読むと、成分で性格が分かれている。
- ポリアクリル酸Na(直鎖型):強い糸引き感と滑りが特徴、とメーカーが説明。
- カルボマー(部分架橋型):糸引きのない水溶性。糸引きを抑えたい商品に使われている。
- ヒドロキシエチルセルロース:セルロース系の潤滑成分。高粘度で絡みつくタイプに使われている例がある。
- グリセリンを多く配合:糸引きと粘度を抑え、乾きにくくした、と説明する商品がある。
たとえば、「中粘度」と書いてある2本のボトルがあっても、片方は糸を引く、片方は引かない、ということがあり得る。成分表にポリアクリル酸Naだけが書いてあるか、カルボマーが混ざっているかを見れば、おおよその性格が読める。成分の読み方は、別の記事で一覧にした。
粘度で変わるのは「洗いやすさ」と「乾きにくさ」だ|メーカーの言葉を拾う
粘度が実用面でどう効くか。公的な比較データは見つからなかったので、メーカーが自分で言っていることを、そのまま整理しておく。
| メーカーの言い方 | 読み取れること | 注意 |
|---|---|---|
| 「洗い流しやすい」(ソフト系の説明) | 粘度を抑えた設計は、後始末が軽い傾向があるとメーカーは説明 | 数値データは未確認。製品ごとの洗い方の表示に従う |
| 「乾きにくい」(ハード系・グリセリン多めの説明) | 長めに使う場面向きとメーカーは説明 | 乾きにくさの比較データは未確認 |
| 「水やぬるま湯で薄めてもご使用になれます」 | その商品に限ってメーカーが明記している使い方 | 他の商品では確認できない。薄めた場合の防腐や使用期限は不明 |
| 「ティッシュの貼付が少ない」(メーカー比較) | メーカー独自の比較(「当社比」) | 他社との比較には使えない |
ここで一つ、はっきり言っておく。「薄めて粘度を調整する」のは、メーカーが薄めてよいと書いている商品だけだ。薄めると防腐の効果や保存性が変わる可能性があるが、そのデータは公表されていない。勝手に水を足すな。
粘度の高低にかかわらず守ること|滑り・保管・使用期限
粘度が高かろうが低かろうが、共通の注意点がある。国内メーカーの使用上の注意に書いてあるのは次のことだ。
- 「ローションは大変滑りやすいので、取り扱いには十分ご注意ください」。浴室で使うときは、床が滑る、とメーカーが明記している。
- 直射日光を避けて保管する。使用後はキャップをしっかり閉める。
- 開封後はできるだけ早く使い切る。未開封でも品質保証期間を過ぎたものは使わない。
- 肌に合わないときは、すぐ使用をやめて専門医に相談する。
粘度が保存中に変わることもある。WHOの仕様は、粘度が保存期間を通じて初期値から30%を超えて下がらないことを要件にしている。逆に言えば、使っているうちに明らかにシャバシャバになったボトルは、劣化を疑ってよい。入浴剤タイプ(お風呂用のローション)を使う場合は、浴槽や排水に関する使い方の注意を、商品の表示で必ず確認してくれ。
買う前の5項目チェックリスト&判断フロー|保存して使え
- 系統は水性か:コンドームを使うなら、先にここで絞る。系統の違いは別の記事にまとめた。
- 表記を読み替える:「ハード」が粘度なのか乾きにくさなのか、メーカーの説明文で確認する。
- 数字があれば測定条件を見る:温度・回転数が書いてない数字は、他社比較に使わない。
- 成分表でとろみの正体を見る:ポリアクリル酸Na中心なら糸引き強め、カルボマー混ぜなら抑えめ、が目安。
- 洗い方・使用期限を確認する:開封後は早めに使い切る。
迷ったときの流れは、こうだ。後始末を軽くしたい → 「ソフト」や「洗い流しやすい」と書いてある水性。乾きにくさを優先したい → 「ハード」や「乾きにくい」と書いてある水性。初めて買う → 小容量の中粘度。「ミディアム」の中身は、メーカーによって違う点だけ忘れるな。
粘度の高いタイプの購入者評価はこうなっている
通販サイトで「高粘度」の枠に入っている商品の、購入者評価と件数を表にまとめた(データは公開時の実データに置き換わる)。容量が大きいものを買うときは、開封後に使い切れる量かどうかも考えてくれ。評価が高いからといって、自分に合うとは限らない。
| # | 商品 | メーカー | 価格 | 購入者評価 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 業務用風俗ローション370ml プロ仕様濃縮タイプ | T-BEST | 465円 | ★4.55(レビュー44件) |
| 2 | 業務用風俗ローション740ml プロ仕様濃縮タイプ | T-BEST | 871円 | ★4.60(レビュー15件) |
| 3 | 超々ギャル盛り 絶頂即イキローション(1411) | マジックアイズ | 946円 | ★4.50(レビュー8件) |
| 4 | ペペ ラバー&ラバーズ 360ml | ペペ | 755円 | ★4.00(レビュー8件) |
| 5 | ペペスペシャル バックドア 200ml | ワールド工芸 | 619円 | ★4.00(レビュー7件) |
浴室で使う入浴剤タイプのローションも、通販に並んでいる。滑りに注意して、浴槽や排水に関する商品ごとの表示を読んでから買え。
※PR:FANZA通販のアフィリエイトリンクを含みます。評価はFANZA上の購入者レビュー(平均・件数)で、取得時点の数値です。
どちらも、評価は人によって割れる。表記と成分表を確認してから選ぶのが先だ。
よくある質問
Q1. 粘度が高いほど長持ちするのか?
A. 一概には言えない。メーカーは「乾きにくい」設計を別に説明している。粘度の高さと持続時間の関係を示す公的データは、確認できなかった。
Q2. mPa・sとcPは同じなのか?
A. 同じ値だ。1 mPa・s = 1 cP(産総研の資料)。国際的にはmPa・sを使う。
Q3. 冬と夏で粘度は変わるか?
A. 粘度は温度で変わるのが一般的だ。WHOの仕様も25℃で測ると決めている。保管は直射日光を避けるのが、メーカーの共通の注意だ。
Q4. ハードとミディアムは、混ぜて使っていいのか?
A. 混ぜた結果の保存性や防腐の効果は、公表されていない。メーカーが混ぜてよいと書いている場合を除き、混ぜない。
Q5. 粘度が高い方が安全なのか?
A. 粘度と安全性は別の話だ。安全性は、成分、浸透圧、pH、防腐などで決まる。
Q6. 使っていたらサラサラになってきた。どうする?
A. 開封後の期間が長いなら、劣化を疑って使用を見送る。色や匂いが変わったものも同じだ。
まとめ|最初の問いに答える
冒頭の問いに戻る。「ハード」って何がどう硬いのか。答えは、メーカーによって違う、だ。粘度の高さを指すこともあれば、乾きにくさを指すこともある。共通の基準は、見つからなかった。
- 粘度の単位mPa・sは、cPと同じ値。水は約1、マヨネーズは15,000〜20,000(目安)
- ハード・ミディアム・ライトに共通基準はない。メーカーの説明文で意味を確認する
- 数字があっても、測定条件(温度・回転数)が違えば比べられない
- 粘度・糸引き・滑りは別物。成分表で、とろみの正体を見る
- 薄めてよいのは、メーカーが明記している商品だけ
- 浴室は滑る。開封後は早めに使い切る
今日やること:①手元のローションの説明文で、「ハード」「強粘」などが何を指しているか確認する。②成分表で増粘剤を見て、糸引きの有無を予想する。③開封日をボトルに書いておく。
グッズ全体の探し方はグッズ一覧に、セール情報はセールのまとめにある。
参考にした公的資料・出典
- 産総研 計量標準総合センター『AIST Bulletin of Metrology』Vol.7, No.3 技術資料(2009年3月、粘度の単位と標準液に関する解説) https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/bulletin/Vol7/3/V7N3P173.pdf
- エース技研「粘度目安(20℃〜25℃)」 https://www.ace-giken.co.jp/photo/NENDO_M.pdf(民間メーカーの目安表。概数として使用)
- WHO Technical Report Series No.1067(2026) Annex 6「WHO/UNFPA specifications for personal lubricants」 https://cdn.who.int/media/docs/default-source/medicines/norms-and-standards/guidelines/trs-1067/trs-1067—annex-6.pdf
- 中島化学産業「ペペ公式サイト(商品一覧・使い方)」 https://www.pepee.net/lineup.html 、 https://www.pepee.net/howto.html
- オカモト「コンドーム/潤滑剤」 https://www.okamoto-inc.jp/customer/condom
- 相模ゴム工業 https://www.sagami-gomu.co.jp/contact/qa.html 、日本家族計画協会「リューブゼリー」 https://www.jfpa.or.jp/luve-jelly/products/
最終確認日:2026年10月。情報の扱い方は編集方針にまとめてある。
このテーマの全体像:ローション完全ガイド
種類・成分・粘度・使い方・代用品の可否・後片付け。前後に読むならこのあたり。

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