※法律の一般的な情報を整理した記事だ。法律相談の代わりにはならねえ。実際に離婚や慰謝料の話が動いている場合は、弁護士や法テラスに相談してくれ。最終確認日:2026年10月。情報の扱い方は編集方針に書いてある。
正直に答えてくれ。何年も触れ合いがない暮らしを、「この先もずっとか」と考えて、夜中にスマホで「セックスレス 離婚」と打ったことはねえか。あるいは、妻(夫)にそう言われて、頭が真っ白になっているかもしれねえ。
先に、公的な数字を出す。最高裁の「令和7年司法統計年報(家事編)」によると、2025年に家庭裁判所が扱った婚姻関係の事件のうち、夫が申立人の15,355件の9.9%(1,524件)、妻が申立人の42,136件の6.4%(2,695件)が、申立ての動機の一つに「性的不調和」を挙げていた。一番多い動機は、夫妻とも「性格が合わない」だ。レスは、離婚の動機として「ない話」ではねえが、多数派でもねえ。
損をするのは、法律の線を知らないまま動くことだ。「レスなら慰謝料を取れる」と思い込んで揉めるか、逆に「どうせ離婚なんてできない」と諦めて、一人で抱え込む。この記事で分かることは、この6つだ。
- 協議・調停・裁判で、離婚に必要な「理由」がどう違うか
- 民法770条1項で、セックスレスが問題になる場所(号の数字が変わった点も)
- 司法統計の動機別件数(夫と妻でどう違うか)
- 裁判で考慮されやすい事情・されにくい事情の整理表
- 慰謝料の考え方と、請求できる期間の注意
- 離婚の前に使える手続(円満調整調停)と相談窓口
この記事の要点
- 協議離婚と調停離婚は、話し合いで決まれば理由は問われない。裁判離婚だけが、民法770条1項の離婚原因を必要とする
- セックスレスは、同項4号「その他婚姻を継続し難い重大な事由」で問題になりうる。レスだけで自動的に認められる、とは言えない
- 令和7年の司法統計では、動機に「性的不調和」を挙げたのは、夫の申立ての9.9%、妻の申立ての6.4%
- 判断は、経緯・期間・拒否に正当な理由があるか・夫婦の生活実態など、事情の総合で決まる
- 離婚の前に、裁判所の「夫婦関係調整調停(円満)」という道もある。迷っている段階でも使える
離婚の「理由」が必要になるのは、裁判のときだけだ
問い:セックスレスを理由に、離婚はできるのか。
結論から言うと、話し合いで二人が合意するなら、理由は何でもいい。民法763条は「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」と定めている。家庭裁判所の調停も、話し合いで合意する手続だ。理由が問われるのは、話し合いがまとまらず、最後に裁判(訴訟)まで進んだときだ。
| 離婚の方法 | 理由の縛り | ざっくりした流れ |
|---|---|---|
| 協議離婚 | なし(二人の合意) | 話し合い→離婚届 |
| 調停離婚 | なし(合意が前提) | 家庭裁判所で、調停委員を介して話し合う |
| 裁判離婚 | 民法770条1項の離婚原因が必要 | 調停で決まらない場合に訴訟へ進む |
裁判にいきなり進めるわけでもねえ。家事事件手続法257条は、離婚のように調停を行える事件で訴えを起こす人は「まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない」と定めている(調停前置主義)。つまり、道筋は「話し合い→調停→(それでもだめなら)裁判」の順になる。
民法770条1項|セックスレスが問題になるのは「4号」だ
裁判で離婚が認められるのは、民法770条1項の事由があるときに限られる。現在の条文は、次の4つだ。
| 号 | 条文(要旨) | セックスレスとの関係 |
|---|---|---|
| 1号 | 配偶者に不貞な行為があったとき | レス自体はここに入らない。拒否した側が浮気をしていた場合などは別の問題 |
| 2号 | 配偶者から悪意で遺棄されたとき | 生活を放棄するような場合。レスだけでは通常ここではない |
| 3号 | 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき | 関係なし |
| 4号 | その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき | レスが問題になるのは、主にここ。事情の総合で判断される |
注意点がひとつある。この記事を書いた時点(2026年10月)の条文は4号までだが、以前の資料やサイトでは、「婚姻を継続し難い重大な事由」が5号と書かれていることが多い。2026年4月1日に施行された民法の改正(令和6年法律第33号)で、旧4号(強度の精神病)の項目がなくなり、号がひとつ繰り上がったためだ。ネットの古い記事を読むときは、5号=今の4号と読み替えてくれ。
もうひとつ、民法752条は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定めている。ただ、この条文に「性交渉をする義務」という言葉は書かれていねえ。レスが裁判で問題になるのは、拒否の仕方や理由、その結果として夫婦関係がどうなったか、といった事情の積み重ねとして評価されるからだ。
司法統計で見る|離婚の動機で「性的不調和」はどこにいるか
ここで、数字を見る。最高裁判所の「令和7年司法統計年報 家事編」第19表は、婚姻関係事件の申立ての動機を、申立人別(夫・妻)に集計している。申立人が言う動機のうち主なものを3つまで挙げる方法なので、割合は足しても100%にならねえ。
| 申立ての動機 | 夫が申立人(15,355件) | 妻が申立人(42,136件) |
|---|---|---|
| 性格が合わない | 9,004件(58.6%) | 15,646件(37.1%) |
| 精神的に虐待する | 3,320件(21.6%) | 10,995件(26.1%) |
| 生活費を渡さない | 825件(5.4%) | 12,137件(28.8%) |
| 暴力を振るう | 1,367件(8.9%) | 7,025件(16.7%) |
| 異性関係 | 1,823件(11.9%) | 5,393件(12.8%) |
| 浪費する | 1,784件(11.6%) | 3,463件(8.2%) |
| 性的不調和 | 1,524件(9.9%) | 2,695件(6.4%) |
| 家族親族と折り合いが悪い | 1,685件(11.0%) | 2,315件(5.5%) |
見えてくることは3つある。1つ目は、夫婦とも1位が「性格が合わない」で、夫では約6割(58.6%)、妻では約4割(37.1%)が挙げていること。2つ目は、妻の申立てでは「生活費を渡さない」「精神的に虐待する」「暴力を振るう」が上位に入り、お金や暴力に関する動機が多いこと。3つ目は、「性的不調和」が、夫では1割弱(9.9%)、妻では6.4%と、少数派だが無視できない数があることだ。
読み方の注意も書いておく。これは「離婚が成立した理由」じゃなく、申立人が言った動機の集計だ。「性的不調和」の中身も、レスなのか、性的な食い違いなのか、統計からは分からねえ。
裁判で考慮されやすい事情・されにくい事情|弁護士解説の整理
問い:レスのどんな事情が、離婚原因として評価されやすいのか。
裁判所が公式にチェック項目を公開しているわけではねえ。ここは、法律事務所が公開している解説(民間の資料)をもとに、俺が整理した見取り図だ。判断は事案ごとに違うので、「こうなれば必ず認められる」という表じゃない。
| 考慮されやすいとされる事情 | 考慮されにくいとされる事情 |
|---|---|
| 正当な理由がないのに、性交渉を拒否し続けた | お互いが納得して、しなくなった(年齢や生活リズムなど) |
| 拒否に加え、暴言・暴力・モラハラがあった | 性機能障害や病気、心身の不調でできなかった |
| 理由の説明もフォローもなく、相手の不安を放置した | 性交渉を「求めなかった」こと自体 |
| 拒否した側が、別の相手と不貞行為をしていた | 期間が短く、夫婦喧嘩の延長とみられる |
| 性交渉以外にも、精神的なつながりを育てる努力がなかった | 一方が話し合いや治療に向き合っている |
解説サイトでは、具体的な裁判例として、岡山地裁津山支部の平成3年3月29日判決(結婚後ずっと性交渉を拒否し、暴言・暴力もあったとして夫の請求に対して妻に慰謝料150万円の支払いを認めた事例)や、東京地裁の平成29年8月18日判決(性交渉だけでなく接触もなく、妻の不安に夫が応じなかった事例で慰謝料50万円)が紹介されている。ただ、俺は判決文そのものは確認できていねえ。あくまで「こういう方向の判断がある」という紹介として読んでくれ。
ここで、体の事情がある場合の話を一つ。ED、病気、痛みなどでできなかった側を責めても、法的にも関係の上でも、解決にならねえことが多い。体のことが原因なら、まず受診だ。男側の基礎知識はEDの定義・原因・検査の記事で読める。
慰謝料の考え方|「レスだから取れる」わけじゃねえ
慰謝料は、離婚するかどうかとは別に、相手の違法な行為で精神的な苦痛を受けたときに請求する、という仕組みだ。民法709条は故意または過失で他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者の損害賠償責任を、710条は財産以外の損害(精神的損害)の賠償も含むことを定めている。
レスについては、解説サイトの記載で、慰謝料の額は50万〜200万円程度とされることが多い、とされている。結婚期間、拒否の悪質性、子の有無などで変わる、という整理だ。ただし、これは民間の資料で、公的な相場表があるわけじゃねえ。そして、拒否に正当な理由がある場合(病気など)は、慰謝料は認められにくい、とされる。
期限にも注意してくれ。民法724条は、不法行為による損害賠償の請求権は、損害と加害者を知った時から3年で時効にかかると定めている。離婚に伴う慰謝料の数え始めがいつになるかは、事案によって変わるので、請求を考えるなら早めに弁護士に聞いておけ。
離婚の前に使える道|「円満調整」の調停と、法テラス
離婚をすぐ決めたいわけじゃない。でも、このままも限界だ。そういう人のために、裁判所には夫婦関係調整調停(円満)がある。裁判所の案内によると、夫婦が円満な関係でなくなったとき、円満な関係を取り戻すための話合いの場として利用できて、離婚するかどうか迷っている場合にも使える、と書かれている。申立先は相手方の住所地の家庭裁判所か、合意で定めた家庭裁判所だ。費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手になる。
離婚を前提にするなら、夫婦関係調整調停(離婚)で、親権、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料も一緒に話し合える。財産分与は、民法768条で、離婚の時から5年を過ぎると家庭裁判所に請求できなくなる。
| やりたいこと | 使える手続 | 費用の目安(裁判所の案内) |
|---|---|---|
| 関係を戻したい/迷っている | 夫婦関係調整調停(円満) | 収入印紙1,200円+郵便切手 |
| 離婚を前提に条件を決めたい | 夫婦関係調整調停(離婚) | 収入印紙1,200円+郵便切手 |
| 相談だけしたい | 法テラス(無料法律相談) | 資力基準あり。同一問題につき3回まで |
法テラス・サポートダイヤルは0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。無料の法律相談は、収入や資産が一定の基準以下であることが条件だ。相談は同じ問題につき3回までと案内されている。
離婚を考え始めた人の、動く前のチェックリスト
- 原因が体の事情(痛み・勃起の悩み・病気・産後)ではないか、確認したか
- 「なぜ断るのか」を、責めずに一度でも聞いたか(聞かずに結論を出すと、後で後悔しやすい)
- 話し合いの日付と内容を、メモにしてあるか
- 子どもがいる場合、生活とお金の見通しを一度書き出したか
- 一人で決めず、第三者(法テラス、弁護士、家庭裁判所の手続案内)に一度話したか
切り出し方の手順は、セックスレスの切り出し方の記事に書いた。まだ話し合いが済んでいないなら、離婚の前に、そっちを試すのが順番だ。
よくある質問
Q1. セックスレスだけで離婚できるのか。
協議や調停なら、二人が合意すれば理由は問われねえ。裁判になると、民法770条1項4号「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかが問題になるが、レスだけで自動的に認められるわけじゃなく、経緯や期間、拒否の理由など事情の総合で決まる。
Q2. 離婚して慰謝料は取れるのか。
正当な理由なく拒否し続けたなど、事情によっては認められた例が解説サイトで紹介されている。ただし、病気など正当な理由がある場合は認められにくい。額も事案次第なので、弁護士に確認してくれ。
Q3. 相手が離婚に応じない場合はどうなる。
まず調停で話し合う。調停で決まらなければ、裁判で離婚原因が争われる。裁判の前に調停を経るのが原則だ(家事事件手続法257条)。
Q4. レスの証拠は必要か。
性生活は私的な事柄で、確たる証拠が残りにくい、と解説サイトは指摘している。話し合いの日付や内容のメモ、診断書(体調不良がある場合)など、できる範囲で記録を残しておく方法がある。何を残すかは弁護士に聞くのが確実だ。
まとめ|離婚の入口は「理由」より「話し合い」だ
冒頭の問いに答える。セックスレスは離婚の動機になりうるが、それだけで離婚できると決まっているわけじゃねえ。話し合いで合意すれば理由は要らず、裁判では事情の総合で判断される。数字で見ても、動機に挙げた人は夫で9.9%、妻で6.4%と、少数派だが確かに存在する。
- 協議・調停は合意があれば理由は問われず、裁判だけが民法770条1項の事由を必要とする
- セックスレスが問題になるのは主に4号(旧5号)「婚姻を継続し難い重大な事由」
- 令和7年司法統計では、動機に「性的不調和」を挙げたのは夫9.9%、妻6.4%
- 慰謝料の額や認否は事案次第。病気など正当な理由があれば認められにくい
- 迷う段階なら、円満調整調停や法テラスが使える
今日やること。離婚の結論を出す前に、チェックリストの5項目のうち、まだ済んでいないものを一つ決めて、今週中に動け。法テラス(0570-078374)に、状況を話すだけでもいい。
あわせて読みたい
参考にした公的資料
- 民法(e-Gov法令検索)
- 家事事件手続法(e-Gov法令検索)
- 最高裁判所「令和7年司法統計年報 3 家事編」(第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別)
- 裁判所「夫婦関係調整調停(離婚)」
- 裁判所「夫婦関係調整調停(円満)」
- 法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」
- デイライト法律事務所 解説「セックスレスと慰謝料」(民間の解説・裁判例の紹介)
- 弁護士ドットコムニュース「セックスレスと離婚」(民間の解説)
最終確認日:2026年10月
このテーマの全体像:セックスレス・夫婦の性の悩みガイド
定義・データ・切り出し方・解消・離婚・相談先。前後に読むならこのあたり。

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