浮気と不倫の違いは?どこから不貞行為になるのか民法で整理

※法律の一般的な情報を整理した記事だ。法律相談の代わりにはならねえ。実際にもめている、あるいは請求された・請求したい場合は、弁護士や法テラス(法テラス・サポートダイヤル 0570-078374)に相談してくれ。最終確認日:2026年10月。情報の扱い方は編集方針に書いてある。

正直に答えてくれ。パートナーが異性と二人きりで飯に行ったら、それは浮気か。LINEで毎日やり取りしてたら。キスまでなら。ホテルに行ったら。

この質問、答えは人によってバラバラになる。そしてバラバラのまま、ケンカになる。「浮気じゃない」と言うほうは気持ちの話をしていて、「浮気だ」と言うほうも気持ちの話をしている。ここに法律を持ち込むと、話の軸がガラッと変わる。

先に意外な事実を一つ。「浮気」も「不倫」も、法律の用語じゃねえ。民法770条1項1号に出てくるのは「不貞な行為」という言葉だ。しかも裁判所の司法統計(令和7年)を見ると、夫婦関係の調停などを申し立てた人のうち、動機に「異性関係」を挙げたのは、夫側で15,355件中1,823件(約12%)、妻側で42,136件中5,393件(約13%)。10人に1人以上が、この問題を理由に裁判所の手続を使っている。ただし動機は主なものを3つまで選べる集計だ。「異性関係だけ」が原因の件数じゃねえから、そこは割り引いて見てくれ。

で、知らないと何を損するか。気持ちの線と法律の線を取り違えると、「そこまでは大丈夫だと思ってた」で足をすくわれる。逆に、本当は法的に重い話なのに「気持ちの問題だ」で流して、あとで後悔する。疑う側も疑われる側も、線の位置は知っておいたほうがいい。

この記事で分かることは、この6つだ。

  1. 浮気・不倫・不貞行為は何がどう違うのか
  2. 民法が見ている「線」はどこにあるのか
  3. 気持ちの浮気/不貞行為/力関係の問題を分ける3段階の表
  4. 不貞行為だと、離婚と慰謝料の話で何が起きるのか
  5. 不貞の相手に責任が生じにくい場面(最高裁の判断)
  6. 疑ったとき、疑われたときにまずやること

この記事の要点

  • 法律に「浮気」「不倫」という言葉はない。民法770条1項1号の「不貞な行為」が出発点
  • 裁判で問題になる線は、気持ちの深さじゃなく「性的関係があったか」の側にある
  • 不貞行為は、離婚を求める理由にも、慰謝料を請求される理由にもなりうる
  • 結婚生活がすでに壊れていた後の関係などでは、不貞の相手の責任が否定されることがある
  • 気持ちの浮気は法的に軽いとは限らねえが、「不貞行為」とは別の話として整理される

「浮気」「不倫」は日常語で、法律が使うのは「不貞な行為」だ

まず言葉の整理から入る。ここを曖昧にしたまま法律の話をすると、全部がボヤける。

民法770条1項は、夫婦の一方が離婚の訴えを起こせる場合を限定していて、その1号が「配偶者に不貞な行為があったとき」だ。条文はこれだけで、「不貞な行為とは何か」の説明は書かれていない。中身を決めてきたのは、裁判所の積み重ねだ。

言葉どこで使われる中身のイメージ
浮気日常語。法律用語ではない恋人・配偶者以外に気持ちや体が向くこと。人によって範囲が違う
不倫日常語。法律用語ではない結婚している人の恋愛・性的関係を指すことが多い
不貞行為(不貞な行為)民法770条1項1号。裁判で使われる配偶者のある人が、配偶者以外の人と性的関係を持つこと(後で詳しく書く)
婚姻を継続し難い重大な事由民法770条1項4号不貞とは別に、夫婦関係を続けるのが難しい事情全体。不貞に至らない事情もここで語られうる

つまり、「浮気だ!」と叫んだ時点では、まだ法律の土俵に乗ってねえ。土俵に乗るのは、「不貞行為があった」と言えるかどうかからだ。

目次

法律の線は「気持ち」じゃなく「性的関係」にある

問い:不貞行為は、どこから成立するのか。

結論から言う。裁判の世界では、不貞行為は「配偶者のある人が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の人と性的関係を持つこと」と説明されるのが一般的だ。この説明の出どころとして、最高裁の昭和48年11月15日の判決が引かれることが多い(俺は判決の原文までは確認できてねえので、解説での紹介を根拠にしている)。

ここで押さえるのは、基準が「どれだけ好きか」「どれだけ頻繁に連絡したか」じゃなく、性的関係があったかどうかに寄っている点だ。性的関係には、性交だけじゃなく、それに類する行為も含まれうると、法律事務所の解説(元裁判官の弁護士が監修)では整理されている。一方、キス、ハグ、手をつなぐ、食事に行くといったものは、それだけだと該当する可能性は低いと説明されている。ただし「挿入がなければ大丈夫」とは限らねえ、とも注意されている。

たとえば、こんな場面を想像してくれ。同僚の異性と月に1回、二人でランチに行く。LINEのやり取りは仕事の相談がほとんど。配偶者から見れば面白くねえだろうが、これは「約束違反だと感じるかどうか」の領域で、直ちに「不貞行為」と評価される話じゃない。

別の場面。連日深夜まで二人で会い、宿泊を伴う旅行にも行っている。この場合は、写真や動画の決定的な証拠がなくても、状況全体から不貞行為が認定されることがあると、同じ解説は述べている。「やってない」と言うだけでは足りず、やっていない事情を裏づける材料が要る、という厳しい現実もある。

ただし、ここは境目が事案ごとに変わる。どの行為が裁判で不貞行為とされるかは、個別の事実と証拠で決まる。一覧で言い切れるもんじゃねえ。

3段階で整理すると、揉めた時に話が噛み合う

気持ちのズレで揉めている時、一番まずいのは「全部同じ重さの話」として扱うことだ。ここで、俺が整理用に作った3段階の表を置く。法律の公式な分類じゃなくて、話を噛み合わせるための道具として使ってくれ。

段階中身法律の見え方(目安)まず取る行動
① 気持ち・やり取りの浮気異性と二人で会う、親密なメッセージ、好意の告白など。性的関係はないそれだけで「不貞な行為」と評価される話ではない。ただし他の事情と合わさって、夫婦関係の問題として語られることはあるパートナーと「どこまでがNGか」を言葉にして話す
② 不貞行為配偶者以外の人との性的関係(性交や、それに類する行為)民法770条1項1号の離婚理由になりうる。民法709条・710条の慰謝料請求の根拠にもなりうる感情的に動かず、弁護士や法テラスに相談する
③ 力関係や強要がからむ問題上司・先輩などの立場を使った関係の強要、自由な意思によらない性的関係など「自由な意思に基づく」関係ではない場合、被害を受けた側が不貞の責任を問われる話とは別になる職場の相談窓口、弁護士、危険があれば警察へ

③については、補足しておく。自由な意思によらない性的関係は、法律事務所の解説でも、被害を受けた側は基本的に不貞行為による賠償責任を負わないと整理されている。つまり「関係があった=全部不貞」と短絡できねえ。力関係を使った行為そのものは、不貞の話じゃなく、別の問題として扱われる。

この表の使いどころは、ケンカの入口だ。「それは①の話だよな。①でも俺は嫌だったって話をしたい」と言えるだけで、「お前は不貞した!」「してない!」の泥沼から一段降りられる。

不貞行為だと、離婚と慰謝料の話に進む

問い:不貞行為があると、法的に何が起きるのか。

大きく二本立てだ。

一つ目は離婚の話。民法770条1項1号により、不貞な行為は、裁判で離婚を求める理由になる。ただし同条2項があって、1号から3号までの理由があっても、裁判所は「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき」は離婚の請求を棄却できる。不貞があれば自動的に離婚になる、という仕組みじゃねえ。

二つ目は慰謝料の話。民法709条は、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者に、損害賠償責任を負わせる。710条は、財産以外の損害(精神的な苦痛)についても賠償を求められると定めている。不貞行為は、この709条・710条を根拠に、配偶者と不貞の相手に対する慰謝料請求として争われる。法テラスの案内では、相手が既婚者だと知っていたか、注意すれば知ることができたのに肉体関係を持った場合に、配偶者と不貞の相手に連帯して請求できるとされている。

2026年6月5日の最高裁判決(第二小法廷)では、不貞慰謝料の根拠が「婚姻共同生活の平和の維持に係る権利利益」の侵害だと整理されている。つまり、法律は「恋愛感情を持ったこと」を罰しているんじゃなく、夫婦の共同生活の平穏を壊したことに責任を問うている、という見方だ。この考え方が、次の節の「不貞の相手に責任が生じにくい場面」につながる。

慰謝料の金額がどう決まるかは、別の記事でじっくり整理する。ここでは入口だけ覚えておけ。

不貞の相手に責任が生じにくい場面が、最高裁で示されている

問い:不貞行為があれば、相手は必ず慰謝料を払うのか。

答えは「必ずじゃねえ」だ。最高裁の判断で、ポイントになる場面がいくつか示されている。

場面最高裁・公的資料で確認できる内容出典
不貞の時点で、夫婦関係がすでに破綻していた特段の事情がなければ、不貞の相手は不法行為責任を負わないとされる(平成8年3月26日判決。令和8年の判決の補足意見が整理している)裁判所 裁判例検索(令和8年6月5日判決)
破綻していたと信じて、信じたことに相当の理由があった過失が認められない可能性がある。令和8年6月5日の判決は、この点を検討せず過失ありとした原審を違法とし、差し戻した裁判所 裁判例検索(令和7年(受)933号)
不貞が原因で離婚した場合の「離婚慰謝料」不貞の相手が離婚させる意図で不当に干渉したなどの特段の事情がない限り、原則として請求できない(平成31年2月19日判決)裁判所 裁判例検索(平成29年(受)1456号)
不貞相手が、配偶者の存在を知らず、注意しても知ることができなかった法テラスの案内では、請求できる場合は「知っていた」または「注意すれば知れた」場合とされる法テラス

ここで一つ、令和8年6月の判決について正確に書いておく。最高裁は、妻と肉体関係を持った男性に元夫が慰謝料を求めた事件で、二審が「離婚したと信じる相当の理由がなかった」だけで過失を認めたのは法令の解釈を誤っている、とした。男性が「婚姻関係はすでに破綻していた」と信じ、かつそう信じる相当の理由があったか、を検討すべきだというのが理由で、事件は高松高裁に差し戻された。つまり、最終的に男性に責任があるかどうかは、この判決の時点では決まっていない。

この事件の事実関係は判決文に載っていて、夫婦の会話がほとんどなくなっていたこと、離婚届の用紙に記入して見せたことなどが認定されている。ただしこれは「こう書いておけば勝てる」という型紙じゃねえ。破綻していたかどうか、信じたことに相当の理由があったかは、個別の事情を総合して判断される。

もう一つ、平成31年の判決も押さえておけ。事案は、不貞が発覚して関係が解消されたあとで夫婦が離婚した、というものだ。最高裁は、離婚するかどうかは本来、夫婦の間で決められることだから、不貞の相手が「離婚させたこと」の責任まで負うのは、特段の事情があるときに限られる、とした。ただしこれは、不貞行為そのものを理由とする慰謝料(不貞慰謝料)の請求を否定したものじゃねえ。別の話として、判決文でも区別されている。

「どこから不貞か」を場面別に見る早見表

ここで保存用の表を置く。法律の公式な一覧じゃなく、裁判所や法律事務所の解説を材料にした整理だ。実際の判断は事案ごとに変わるので、「目安」として見てくれ。

場面不貞行為と評価されやすさ(目安)ひとこと
二人で食事・飲みに行く通常は不貞行為と評価されにくいただし回数・時間帯・隠し方で夫婦関係の問題にはなりうる
親密なLINE・メッセージそれだけでは不貞行為と評価されにくい内容次第で、性的関係をうかがわせる材料として使われることはある
キス・ハグ・手をつなぐそれだけだと該当する可能性は低いとされる継続性や状況次第で、別の事情と合わせて語られうる
ラブホテルへの出入り・宿泊を伴う二人旅行性的関係を推認する材料になりうる写真・動画などがなくても、状況全体から認定されることがある
性交または性交に類する行為不貞行為と評価されやすい性器の挿入の有無だけで結論が決まるとは限らない、とする解説がある
金銭を介した性的サービス不貞行為と評価される可能性が高いとする解説がある(個別の事情で変わる)別記事で整理する。約束の問題と法的評価は別軸だ

最後の行の話は、風俗の利用が絡むので、別の記事で丁寧に分ける。ここで先に言っておくと、合法の店の範囲かどうかと、不貞行為かどうかと、パートナーとの約束を破ったかどうかは、全部別々の軸だ。

疑ったとき、疑われたとき、最初にやることは同じだ

問い:もう揉めている。何から手をつければいいのか。

結論は、「感情が一番高い時に動かない」だ。疑う側が焦って相手のスマホを覗いたり、GPSを仕込んだりすると、違法行為になる場合がある。疑われる側が逆上して証拠を消したり、嘘を重ねたりすると、あとで状況が悪化する。証拠集めで違法になる行為は、別の記事で整理している。ここでは「やる前に止まれ」とだけ言っておく。

やることのリストは、こうだ。

  • 感情が収まるまで、重要な話し合いや連絡を急がない
  • 自分が何を求めているのかを書き出す(謝罪か、関係の修復か、離婚か、金銭か)
  • 不貞の相手に直接連絡する前に、弁護士や法テラスで進め方を確認する
  • 請求された側は、無視せず、書面の期限と内容を確認して相談に行く
  • 慰謝料の請求には3年の期限がある(民法724条)。いつ知ったかを整理しておく

法テラスの無料法律相談は、収入や資産の条件を満たす人が対象だ。1回30分、同じ問題で3回まで利用できる。条件の金額は地域と家族の人数で違い、改定されることもあるので、予約の時に確認してくれ。

よくある質問

Q1. キスだけなら不貞行為にならない?

法律事務所の解説では、キスやハグ、手をつなぐといった行為だけだと、不貞行為に該当する可能性は低いとされている。ただし、継続的な関係や他の事情と合わさって、夫婦関係の問題として扱われることはある。個別の判断は弁護士に確認してくれ。

Q2. 別居中の関係は不貞になる?

別居という事実だけで結論は決まらない。最高裁は、不貞の時点で夫婦関係がすでに破綻していれば、特段の事情がない限り不貞の相手は責任を負わないとしている。ただし、破綻しているかどうかの判断は個別の事情で変わる。自分で「破綻している」と決めつけるのは危ねえ。

Q3. 相手が既婚者だと知らなかった場合は?

法テラスの案内では、請求できる場合は「既婚者だと知っていた」または「注意すれば知ることができた」場合とされている。知らず、注意しても知ることができなかったと言える事情があるかどうかが争点になる。

Q4. 婚約者や恋人の浮気も不貞行為になる?

不貞行為は、配偶者のある人が前提の言葉だ。婚約中の浮気を直接の原因とする不貞慰謝料は、法律事務所の解説では請求できないとされている。ただし、浮気の結果、婚約が正当な理由なく解消された場合は、その解消を理由に慰謝料を請求できる可能性があるとも説明されている。

Q5. 風俗に行くのは不貞行為になる?

一言では片づかねえ。法律上の評価と、パートナーとの約束は別の話だ。別の記事で、判断の要素を表にして整理している。

まとめ|「浮気か?」の答えは、気持ちと法律の二つで出す

冒頭の問いに戻る。二人きりの食事は浮気か。答えは二段階だ。二人の約束の上でなら、浮気と感じる人もいるし、感じない人もいる。それは二人で決める話だ。民法の「不貞な行為」という土俵では、基本は性的関係の有無で見られ、食事だけなら通常は不貞行為と評価されにくい。気持ちの線と法律の線は、別の場所に引かれている。

  • 「浮気」「不倫」は日常語。法律が使うのは「不貞な行為」
  • 裁判で問われるのは、自由な意思による配偶者以外との性的関係
  • 不貞行為は、離婚の理由にも慰謝料請求の根拠にもなりうる
  • 夫婦関係がすでに破綻していた場合などは、不貞の相手の責任が否定されることがある
  • 慰謝料請求には3年の期限がある。迷ったら弁護士か法テラスへ

今日やること。もし今、パートナーとの間にモヤモヤがあるなら、「どこまでがNGか」をメモに書き出してみろ。誰にも見せなくていい。線が自分の中で言葉になるだけで、次に話すときの精度が変わる。揉めごとが法的な段階に進んでいるなら、一人で抱えず、法テラスか弁護士に予約を入れとけ。

参考にした公的資料

最終確認日:2026年10月

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