セックスレスの定義と原因|国内の調査を並べて分かる現状と読み方

※セックスレスに関する調査と定義の一般的な解説だ。診断や治療、夫婦関係の相談の代わりにはならねえ。体の不調や深刻な関係の悩みは、専門の窓口に相談してくれ。最終確認日:2026年10月。

正直に答えてくれ。「うちはセックスレスなのか?」と検索したとき、本当に知りたかったのは、定義より先に「これって普通なのか、俺たちだけなのか」じゃなかったか。

数字は意外な形で出てくる。日本家族計画協会とジェクスの2020年調査では、20〜49歳の婚姻関係にある男女のセックスレスは51.9%だった。2016年の同協会の調査でも、婚姻関係にある男女の47.2%が「この1か月間セックスをしなかった」。半分近いカップルが、同じ状態にいる計算になる。

ただし、数字だけ見て「みんなそうだから安心」と思うのは早い。調査ごとに物差しが違うし、放っておいて戻る保証もねえ。この記事で分かることは、次の6つだ。

  1. セックスレスの定義と、定義に入らないケース
  2. 国内調査の数字を並べた早見表
  3. 数字を読むときの落とし穴
  4. 理由が男女でズレている話
  5. 原因を「心・体・暮らし」で整理する点検リスト
  6. 放置するとどうなるか、言えること・言えないこと

この記事の要点

  • 日本性科学会の定義は、特殊な事情がないのに、合意した性交や性的な触れ合いが1か月以上なく、長期に及ぶと予想される状態
  • 調査によって「過去1か月」「過去1年」と物差しが違うので、数字は並べても直接は比べられない
  • 2016年調査の理由は、男性は「仕事で疲れている」、女性は「面倒くさい」が最多。同じ状態でも、見えている景色が違う
  • 痛み(性交痛)が理由のこともある。2020年調査では女性の62.4%、男性の14.0%が痛みを感じると回答
  • 1年以上していない人の平均期間は、男性8.7年、女性9.6年。自然に戻るとは限らない
目次

セックスレスの定義は「3つの条件」で読む

日本性科学会が1994年に示した定義を、日本家族計画協会の資料は次のように紹介している。「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1か月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」。ここから条件を3つ抜き出せる。

  • 特殊な事情がない:病気、単身赴任、出産直後などの事情があるなら、この定義の対象にならない
  • 合意がある:片方だけが望んでいない状態は、合意とは言えない。この点は後の記事で扱う
  • 1か月以上、しかも長期に及ぶと予想される:一時的な空白はカウントしない

「セクシュアル・コンタクト」は、性交だけじゃない。ペッティングや、肌を触れ合わせる行為も含まれる。1か月という数字はあくまで定義上の線引きで、二人がつらいかどうかは別の問題だ。数字に当てはまらなくても、どちらかが苦しいなら、向き合う価値はある。

国内調査を並べた早見表|物差しの違いまで見ろ

下の表は、公開されている調査の数字を、物差しごとに自作で並べ直したものだ。

調査対象・方法セックスレスの物差し結果
日本家族計画協会「男女の生活と意識に関する調査」第2〜8回(2004〜2016年)16〜49歳の婚姻関係にある男女この1か月間セックスをしなかった割合2004年31.9%→2008年36.5%→2012年41.3%→2016年47.2%
同 第9回(2023年実施)全国の16〜49歳同上。2024年3月の結果報告会での公表婚姻関係にある男女の48.3%(前回より1.1ポイント増)
ジェクス「ジャパン・セックス・サーベイ2020」20〜69歳の男女5,029人、インターネット調査「年数回程度」+「1年以上していない」の合計男性61.6%、女性64.2%。20〜49歳の婚姻関係では51.9%
同 2024(2023年11月実施)18〜69歳の男女5,029人、インターネット調査「この一年間以上セックスがない」男性45.3%、女性52.8%。男女とも6割以上が1か月以上セックスがない状態

見たらわかるが、上の2行と下の2行は、同じ「セックスレス」でも測っているものが違う。上は婚姻関係の直近1か月、下は全体の過去1年だ。だから「48.3%と64.2%だから急増した」とは言えねえ。同じ物差しで時代を追えるのは、日本家族計画協会の2004〜2016年の推移(31.9%から47.2%へ)の部分だけだ。

数字を読むときの落とし穴は3つある

  • ネット調査の偏り:ジェクスの2020年調査は、73,563人に依頼して回答は5,565人、有効回答5,029人で、回答率は約7%だった。人口構成に合わせて重みづけ(ウェイトバック)しているが、答えやすい人に偏る可能性は残る
  • 定義が違う:「1か月」と「1年」と「年数回」を一緒に論じても、結論は出ない
  • パートナー限定かどうか:2020年調査の設問は「特定の相手に限らず」聞いている。同じパートナーとの回数だけを測ったものではない

たとえば、こんな場面を想像してくれ。友人が「周りの夫婦は半分がレスらしいぞ」と言ってくる。その半分は、物差しも対象も違う数字の寄せ集めかもしれねえ。数字は「珍しい悩みじゃない」という安心材料にはなるが、「うちの状態を正当化する根拠」にはならない。

理由は男女でズレている|2016年の上位理由

日本家族計画協会の2016年調査では、婚姻関係にある人に「セックスに積極的になれない理由」を聞いている。報道で紹介された上位の数字を表にした。

順位男性女性
1位仕事で疲れている 35.2%面倒くさい 22.3%
2位家族(肉親)のように思えるから 12.8%出産後なんとなく 20.1%
3位出産後なんとなく 12.0%仕事で疲れている 17.4%

この表で面白いのは、「疲れ」が男性で最多なのに、女性では3位だという点だ。調査を紹介した記事によれば、女性の「面倒くさい」は減少傾向だが4回連続で1位だった。つまり、男は「疲れてるから無理」、女は「気が乗らない・面倒」と受け取っている可能性がある。お互いが違う理由を想像しているから、話が噛み合わないままになる。

原因は「心・体・暮らし」の3層で点検しろ

原因は1つに絞れないことが多い。下の自作チェックリストで、心当たりに丸をつけてみてくれ。丸が多い層が、話し合いや受診の出発点になる。

層チェック項目動き方の目安
心・関係会話が減った/断られたことが続いて誘えない/家族のように感じる/出産後から気まずい話し合い、触れ合いの再開。次の記事で手順を扱う
体勃起や射精の悩み/痛みがある/更年期の不調/薬の影響が気になる泌尿器科・婦人科での相談
暮らし睡眠不足/仕事や育児で余裕がない/寝室に二人の時間がない/子どもと同室時間と場所の確保、休息を先に確保

体の層について、ジェクスの2020年調査にはこんな数字がある。セックスの悩みを聞くと、男性の30.2%が「挿入時間や射精までに時間が短い」、19.0%が「勃起しづらい」と回答した。女性は21.5%が「オーガズムに達することができない」、15.0%が「快感が得られない」を挙げている。複数回答だが、悩みを抱えたまま黙っている人がそれなりにいる、ということだ。

痛みの問題は見落とされやすい

同じ調査で「セックスの時に痛みを感じることがあるか」を聞くと、女性の62.4%、男性の14.0%が「痛い」と回答した。男性は20代で25.7%と高い。女性は20代で74.1%、60代でも56.8%だった。調査を解説した文章は、若い世代の痛みは潤い不足だけでなく、経験不足や妊娠・性感染症への不安などが背景にあるかもしれない、と書いている。

断る側に痛みがあるのに、誘う側が「気持ちがない」と受け取る。そのすれ違いで、レスが固まっていくこともある。痛みが続くときの考え方は、性交痛の原因と婦人科受診の記事で整理した。

放置するとどうなるか|言えること・言えないこと

ここは正直に書く。放置が夫婦関係や健康にどんな影響を与えるかを、はっきり示す一次資料は、今回確認した範囲ではなかった。だから「放置すると別れる」とか「体に悪い」とは書かねえ。

言えることは1つだ。2020年調査で、1年以上セックスがない人に「どれくらい前から」と聞くと、平均は男性8.7年、女性9.6年だった。数年単位で止まっている人が多い、ということだ。空白は、時間が経てば自然に戻るとは限らない。戻すなら、気づいた段階で小さく動くほうが、後の負担は軽い。

よくある質問

Q1. セックスレスは何回からだ?

回数の基準はない。日本性科学会の定義は「特殊な事情がなく、合意した性交や性的な触れ合いが1か月以上なく、長期に及ぶと予想される」状態だ。調査によって「過去1か月」「過去1年」と物差しは変わる。

Q2. お互い満足していても、セックスレスなのか?

定義だけ見れば該当する。ただ、二人とも困っていないなら、問題として扱う必要はない。大事なのは、片方だけが我慢していないかだ。

Q3. 原因が分からないときは、まず何をすればいい?

体の悩み(勃起、射精、痛み)が1つでもあれば、泌尿器科や婦人科で相談するのが早い。心や暮らしの問題は、責めない話し合いから始めるのが基本だ。

Q4. 相談できる場所はあるか?

体の症状は泌尿器科や婦人科へ。気分の落ち込みが強いときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556、通話料がかかる)が使える。自治体の保健所や女性健康支援センターで相談先を聞く方法もある。

まとめ

最初の問いに答えるなら、こうだ。「うちだけ」ではねえ。婚姻関係にある男女の約半数が、調査によってはセックスレスの範囲に入る。ただし、数字は物差しが違うので、安心材料としてだけ使ってくれ。

  • 定義は「特殊な事情なし・合意あり・1か月以上で長期」の3条件
  • 理由は男女でズレやすい。男性は疲れ、女性は面倒くささや出産後が上位だった(2016年)
  • 原因は心・体・暮らしの3層で点検する。痛みや体の悩みは医療につなぐ
  • 自然に戻るとは限らない。気づいた段階で小さく動く

今日やることは2つだ。上の3層チェックで、丸が一番多い層を1つ決める。次に、その層の記事を1本読む。

あわせて読みたい

男性の体の側の悩みは、EDの定義・原因・検査の記事や早漏の定義と考え方の記事にまとめてある。夫婦・カップルの悩み全般は夫婦・カップルの悩みカテゴリから探せる。

参考にした資料

最終確認日:2026年10月

ここから先は、こっちだ

数字を見ても、二人の事情が片付くわけじゃねえ。ひとりの夜に気分を切り替えたいときの入口だけ置いておく。無理に押し付ける気はねえ。

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