ダイヤルQ2とは?1989年に始まった情報料回収代行サービスの歴史と2014年の終了までを解説

※本記事は歴史・文化の解説であり、特定のサービスや営業を紹介するものではありません。歴史には諸説あり、年号や呼び名は資料によって異なる場合があります。

ダイヤルQ2は、1989年にNTTが始めた、電話で有料の情報を聞ける仕組みだ。ニュースや相談のための道具として生まれたのに、やがて高額請求や青少年の利用が社会問題になり、2014年2月28日に姿を消した。ここでは番組の中身や使い方には触れず、サービスの仕組みと規制、終わりまでの流れだけを、公開されている資料から整理する。

ダイヤルQ2の歴史にまつわるキーワード

1989年にNTTが開始0990で始まる番号情報料の回収代行1991年に約8,500番組でピーク高額請求と最高裁判決パスワード制の導入2014年2月28日に終了
目次

ダイヤルQ2とは|NTTが提供した「情報料回収代行」の電話サービス

ダイヤルQ2は、NTT東日本とNTT西日本が提供していたサービスだ。NTTの2011年の発表資料は、テレホンサービスなどの情報提供者が「0990」で始まる番号で番組(有料情報)を提供し、番組を使った客への情報料をNTTが情報提供者に代わって回収する仕組み、と説明している。つまり、NTTが自前で情報を売るのではなく、情報を売る事業者のために料金の取り立てを代行する、というのが本質だ。

開始時期について、NTTの発表は「平成元年7月より」提供してきたと書いている。百科事典のWikipediaには、1989年7月10日が当初は試験サービスで、本格的なサービスは1990年7月10日からとする説明がある。1989年開始というのは、この試験開始を指すとみられるが、資料によって扱いは分かれる。正式名称は「ダイヤルキュー」で、通称が「Q2」だ。

誕生の経緯として、ある歌手・タレントの電話相談で回線が混み合い、かけてきた人から料金を取る案が出たのが発端、という説明がWikipediaにある。ただ、公的な資料では確認できなかった。NTT側が当初想定していた用途は、ニュース、電話での相談、ファンクラブ会員向けの有料情報などだったとされる。

仕組み|誰が何を負担したのか

利用者が番組にかけると、通常の通話料に加えて情報料が発生し、NTTが電話料金と一緒に請求する。利用者にとっては、会員登録もクレジットカードも要らないのが特徴で、それが広く使われた理由の一つになった。一方、情報提供者(IP)は、NTTが指定する倫理審査機関の審査を受ける必要があった、とされる。

NTTにとってのうまみは手数料だ。INTERNET Watchの2001年の記事によると、NTT東西が受け取る「回収代行手数料」は番組情報料の9%で、その収入は平成11年度が約33億円、平成12年度が約54億円だった。増えた要因はインターネット接続番組だったと記事は伝えている。

料金には上限が決められていて、2000年当時の情報料の上限は3分300円だった。番号はQ2の「0990」に続く数字でジャンルが分かれていた。2001年の記事によれば、「3ジャンル」「5ジャンル」「6ジャンル」の3つがあり、アダルト情報は本来、事前の利用登録が必要な3ジャンルに置かれていた。対象はNTTの固定電話で、携帯電話やPHS、IP電話などからはつながらなかった。

ダイヤルQ2の年表

年 出来事
1989年7月 NTTが「ダイヤルQ2」を開始(7月10日の試験サービスとする説明もある)
1990年7月 本格サービス開始とされる(Wikipedia)
1991年 番組数が約8,500でピーク。NTTが番組の審査を厳しくし始める
1992年 Q2回線を使ったツーショットダイヤル事業者が事実上いなくなる
1995年11月1日 番号の区分やパスワード制、定額制など見直しが行われたとされる
2000年10月 NTT東西がインターネット接続番組への対策を発表(上限3分90円など)
2001年3月27日 最高裁が、未成年の子の無断利用による通話料の請求を一部制限する判決
2001年4月 NTT東西がパスワード制の導入を発表
2002年1月23日 Q2でパスワード規制が始まる
2011年11月15日 NTT東西がサービス終了を発表
2011年12月15日 新規の申し込み受付を終了
2014年2月28日 サービス提供を終了
2014年3月1日 後継の「災害募金サービス」が始まる

広がり|想定外の使われ方が主役になった

想定されたニュースや相談といった用途のほか、ほどなく成人向けの情報を扱う業者が参入した。課金の上限いっぱいの3分300円を設定する業者が現れ、ツーショットダイヤルのような男女の会話サービスも広がったとされる。Wikipediaの記述では、当初のツーショットダイヤルは、男性がQ2にかけ(情報料は1分100円)、女性はフリーダイヤルで接続される形だった。自宅の電話から使えるようになったことで、電話での男女の出会いは店の外へ広がった。

番組数が最も多かったのは1991年で、約8,500に達した。投資情報や占い、人生相談、後には募金など、用途は多岐にわたる。インターネットの普及期には、会員登録なしで接続できる仕組みとしても使われた。ある接続事業者は、1995年12月からQ2を使った非会員制の接続サービスを提供し、2002年1月22日に終了するまでの約6年2か月で、延べ利用は約2,200万回、約780万時間にのぼったと発表している。

問題と規制|高額請求から最高裁判決、パスワード制まで

広がりとともに問題も表に出た。若い利用者の長時間の利用で、数十万円から数百万円という高額な情報料になる例や、回線の持ち主に利用した覚えのない請求が届く例が社会問題になったと、Wikipediaは整理している。援助交際の目的での利用が増え、少年非行の温床になったとの指摘もあった。

対応は段階的に進んだ。1991年、NTTは情報提供者の利用企画書の審査を厳しくし、企画と違う内容の事業者とは契約を更新しない方針をとった。その結果、1992年にはQ2回線を使ったツーショットダイヤル事業者は事実上いなくなった。ただ、電話での男女の会話サービスそのものがなくなったわけではなく、Q2を通さない仕組みが後に主流になっていった。1995年11月1日には、番号をアダルト向けと一般向けに分け、アダルト向けにはパスワード制を導入するなどの見直しがあったとされるが、この点は百科事典の記述に基づくもので、当時の一次資料は確認できていない。

2000年6月に公表された郵政省(当時)の研究会報告は、青少年に悪影響を与えるとされる内容や利用料金の高額化が社会問題になり、NTTが改善策を講じてきたと記している。同じ年の秋には、問題の中心がインターネットに移っていた。INTERNET Watchの2000年10月4日の記事によれば、画像閲覧ソフトを使うと自動的にQ2へ接続されて課金されるケースや、ソフトのダウンロード時に標準の接続先がQ2番号に書き換えられてしまうケースがあった。そうなると、Q2の番組を見ていなくても、すべての接続がQ2経由になり高額請求になる。

この記事が報じたNTT東西の発表は、3つの対策からなる。一つは、接続先がQ2番号の場合に画面で知らせる「接続チェックプログラム」の無料配布で、当時はWindows 98のみの対応だった。二つめは、情報提供者に対し、接続時に事業者名や情報料などを画面に表示させる義務づけ。三つめは、インターネット接続番組の情報料の上限を3分90円に引き下げる措置で、2000年12月から順次実施するとされた。このプログラムは一部の機種で動かないという報告があり、10月6日に配布がいったん停止された。

司法の判断も出た。最高裁判所第三小法廷は、平成13年(2001年)3月27日の判決で、加入電話の契約者の承諾なく未成年の子がQ2を多数回・長時間利用した事案について、NTTは有料情報サービスの内容と通話料が高額になる危険を十分に周知し、その危険が現実になるのをできる限り防ぐ対策をとるべきだったのに、平成3年当時はそれが不十分だったと指摘した。そのうえで、契約者が高額化の原因に気づき対策を講じられるようになるまでに生じた通話料のうち、5割を超える部分の請求は信義則に照らして許されない、と判断した。Wikipediaにはこの判決を2003年とする記述もあるが、裁判所の公開情報に従い2001年とした。

決定打になったのが、パスワード制の導入だ。2001年4月24日にNTT東西が発表した内容では、パスワードが必要な「パスワードジャンル」にインターネット接続番組やアダルト番組、ニュースや生活情報番組の大半が入り、募金番組などは「オープンジャンル」に分けられた。利用者は4桁の数字のパスワードを事前に申し込む必要があり、番組番号のあと約20秒以内に入力する。記事は、この制度の導入でNTTの収入は半減すると予測している。実施は2002年1月23日からで、同日からは公衆電話やピンク電話からの利用もできなくなった。手続不要が売りだった接続サービスの事業者が終了を決めたのも、この変更が理由だった。

終了と現在|2014年2月28日、約25年の歴史に幕

2011年11月15日、NTT東日本とNTT西日本は、2014年2月28日(金)でダイヤルQ2の提供を終えると発表した。理由は、インターネットなどを使った情報提供の手段が多様になり、利用者が年々減っていて、この傾向が続くと想定されることだ。2011年12月15日(木)で新規の申し込みを締め切り、すでに使っている情報提供者はサービスの終了まで続けられた。NTTはこの終了を、将来予定する一般加入電話網のIP網への移行に先立つ措置とも位置づけていた。

最盛期の1991年に約8,500あった番組は、終了発表のころには35番組まで減っていたとWikipediaは記す。2014年の新聞報道には、終了前は26番組程度まで減ったと読める記述もあり、資料によって数字は違うが、いずれも数十番組規模まで縮んでいたことは共通している。

一方、Q2には最後まで残った役割があった。放送局が大きな災害のときに出す義援金募集番組だ。NTT東西は、その回収代行の手数料を無料にしてきた。Q2の終了に合わせ、2014年3月1日から「災害募金サービス」が新たに始まった。募金額は105円、210円、315円から選ぶ形で、手数料や工事費は無料、対象は放送事業者など広く周知できる事業者に限られ、NTT東西が番組内容を審査する。

電話を使った出会いのサービスとの関係

Q2が社会に与えた影響は、電話を使った男女の会話サービスと切り離せない。1986年にNTTが始めた伝言ダイヤルも、誰でも録音と再生ができるボックスが出会いに使われ、社会問題として取り上げられたとされる。こうした電話のサービスは、のちに風営法で「電話異性紹介営業」として規制されることになる。その流れは、風営法の歴史を読むと全体がつかみやすい。同じ時代に広がった映像の側の変化は、アダルトビデオの歴史の記事で整理している。

まとめ

ダイヤルQ2は、1989年にNTTが始めた情報料回収代行のサービスだった。0990の番号を使えば、誰でも会員登録なしで有料の番組を出せるという自由度が、ニュースや相談だけでなく、アダルト番組やツーショットダイヤル、インターネット接続にまで利用を広げた。その結果、高額請求や青少年の利用が社会問題となり、1991年の審査強化、2001年の最高裁判決、2002年のパスワード制へと規制が段階的に強まった。2011年に終了が発表され、2014年2月28日で幕を閉じたが、0990の番号は災害募金サービスとして引き継がれている。便利さと責任の線引きをめぐる、通信サービスの歴史の一断面だ。

よくある質問

Q. ダイヤルQ2はいつ始まったのか?
A. NTTの発表では平成元年(1989年)7月からだ。7月10日が試験サービスで、本格開始は1990年7月10日とする説明もあるので、資料によって扱いが分かれる。

Q. ダイヤルQ2とはどんなサービスか?
A. 情報提供者が0990で始まる番号で有料の番組を提供し、その情報料をNTT東西が電話料金と一緒に回収する、情報料回収代行のサービスだ。

Q. なぜ社会問題になったのか?
A. 成人向けの番組やツーショットダイヤルが広がり、長時間の利用で高額な請求になる例や、身に覚えのない請求が出たため、請求の仕組みや青少年への影響が問題視された。

Q. 最高裁はどう判断したのか?
A. 2001年3月27日の判決で、未成年の子が無断で利用した通話料のうち、5割を超える部分の請求は信義則に照らして許されないとした。NTT側の周知や防止策が十分でなかったことが理由だ。

Q. いつ終わったのか?
A. 2011年11月15日に終了が発表され、2011年12月15日に新規受付が終わり、2014年2月28日にサービスの提供が終了した。インターネットの普及で利用者が減ったことが理由とされる。

Q. 0990の番号は今も使えるのか?
A. Q2としては終了したが、2014年3月1日から、災害時の募金に限った「災害募金サービス」の番号として使われている。

参考にした資料

  • NTT東日本・NTT西日本 報道発表資料「『ダイヤルQ2』サービスの新規お申し込み受付の終了およびサービス提供の終了について」(2011年11月15日)
  • NTT東日本・NTT西日本 報道発表資料「『災害募金サービス』の提供開始について」(2014年1月30日)
  • INTERNET Watch「東西NTT、ダイヤルQ2を使ったインターネット番組への新対策を発表」(2000年10月4日)/「NTT、ダイヤルQ2チェックプログラムの配布を一時停止」(2000年10月10日)/「NTT東西、ダイヤルQ2のパスワード制導入を発表」(2001年4月24日)/ GMOの接続サービス終了の記事(2002年1月21日)
  • 裁判所「裁判例結果詳細」平成7年(オ)第1659号 通話料金請求事件(最高裁判所第三小法廷 平成13年3月27日判決)
  • 総務省(旧郵政省)「電気通信番号に関する研究会」報告(2000年6月2日公表)
  • ITmedia NEWS「『ダイヤルQ2』サービス、2014年2月に終了 利用者減少」(2011年11月15日)/四国新聞「ダイヤルQ2が終了」(2014年3月1日)
  • Wikipedia「ダイヤルQ2」「ツーショットダイヤル」「伝言ダイヤル」

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